二十二世紀に『異世界渡航』という技術は、二つの天地を一つの世界にした。
事の始まりは百年前の二十一世紀初頭、十代の若者を中心とした『白昼夢』と称された集団昏倒事件だった。
当初は未知にして不治の病と恐れられたその眠りは、その少年少女たちの意識のみを異世界へと誘っていたのだ。
その眠りから目覚めた者たちが手にしていた未知の物質でできた装備品、人的な身体能力、そして規格外の力は人々の探究心を異世界『イグノーテラ』へと集約させた。
その規格外の力は今日において【ゼノギフト】と呼称され、その受容に人類史は莫大な出血をともないながらも、今や地球人類の九割九分へと伝染した。
誰もが超常的な力を手にし、そして誰もが異世界への『探究者』《シーカー》となって異世界を探究するのだ。
そんな『探究者』の卵たちが集う『統括政府直属探究者養成学院』に、ソウヤ・アカツキという少年がいた。