国王の庶子として疎まれながら育ったクリスティアナは、義母である王妃の企てにより、異母妹の身代わりで連れ去られるように嫁ぐことになる。 相手は王家に次ぐ大領主ケンドリック家の新当主ナサニエル。半年前に起きた内乱で父親を殺され、王家を恨んでいると聞いていたが、怯えながら嫁いだクリスティアナを彼はあたたかく迎えてくれて……

裕福な織物商のひとり娘であるわたしは、父のもとで働く青年を婿に迎えることになる。 父の屋敷で夫の帰りを待ち、父の仕入れた織物に刺繡をする、結婚してもそんな日々がずっと続くと思っていた。

あなた、王妃になりたいのですってね。 だからわたしを訪ねて来たのでしょう。同じように侍女から王妃となったわたしのもとへ。 わたしがどうやって王妃になったのか話してあげるわ。

木曜日の夕方が近づくと、ヒューはジルのいる店にやってくる。 チョコレート店で売り子をしているジルと、貴族の従者として仕えているというヒュー。 週に一度、店で会ってキスを交わすだけ。そんな関係が変化する時を、ジルはずっと待ち望んでいる。

エリノアは王の妃になった。愛する人を殺した男の妻に。 王家に生まれたエリノアは両親と祖父を早くに亡くし、王位を継いだ親族のギルフォードを頼りに育った。 庇護者を慕う心は成長するにつれて恋情へと変化していく。 しかしギルフォードは、王位を狙う反乱軍との戦で殺されてしまった。 代わって王位についたのが反乱軍を率いてきたウォルター――彼がエリノアの今の夫だ。 エリノアは微笑みかける。愛する人を殺した男、自分を手段としてしか見ない夫に向かって。 自分の微笑みが、国の平和を証すものだと知っているから。