安峰(やすみね)大学薬学部へ入学した、渋川透(しぶかわとおる)には感情がない。
生きていく上で感情は不要であり、むしろ邪魔になるものと考えている。人間関係に興味を持たない、むしろ避けてきた透にもちろん『青春の1ページ』なんていういうものは存在しない。
そんな透に初対面にも関わらず平手ビンタを食らわせた女がいた。烈火の如く燃える瞳を持つその苛烈な女に俺は一体何をしたのか、なぜそんなことをしたのか。
キャンパスライフを通じて、遅すぎる青春を取り戻すのか、無くしたものを見つけるのか、透に関わる人間がそのきっかけになるのか。