わたしたちは満ちて欠けるために生まれたわけじゃない。けれども、完全になり切れない「わたし」を満たしてくれる誰かに出会えるのならば、たとえ何度欠けたって構わない。
満ちていくきみ。光り続けるすべて。
あなたの名前が、私の生きるすべての理由。
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【各章あらすじ】
「月よ星よ」……見知らぬ場所で目を覚ました青年。自分の名前さえも思い出せない彼の元へ現れた「星野」と名乗る男と共に、広大で美しい土地で忘れられぬ数日間を過ごす。彼に「月野」と名付けられた青年が、たわいのない穏やかな日々の果てに辿り着く真実とは――?
「かみかくしくかみか」……「カケルちゃん」という少女と過ごす、孤独な少年「ミチル」の日常の物語。友人でも兄弟でも恋人でもない、ふしぎな関係はどこかで心地よく、ミチルは永遠に続くと信じていた。けれど……。
「僕と姉の話」……僕と姉は閉じられた部屋で儀式を繰り返す。ふたりだけの世界を生きる姉弟の、何処か危ういまぼろしのような日々。大切に大切にしていたはずなのに、ある日突然、時間は動き出す。そして物語は、最終局面へ突入していく。
幸ひとは何なのか、求める幸福とは、どんな形で見えるものなのか。
目に見えない「ハッピーエンド」を模索して、円を回る様に未来を見つめるお話集。
群像劇のようでそうじゃない、少しふしぎな物語です。
日常 青春 純文学 すこしふしぎ
読了時間:約119分(59,176文字)