「僕の理想か。キミの幻想か。もし、一つだけ願い事が叶うならば運命の神様はどちらに委ねると思う?
ーーーそれは彼の心臓を、或いは始祖の血を喰う者だけがその解答を知ることができる。」
煌歴2145年、初夏。
「魔姫」を冠した真祖ネビュリスの眷属たちが世界各区域に未知のウイルスを蔓延させ、数多の人間の殺戮を開始した。
繁盛した町並みの風景も一夜にして業火と化し、次々と大人の人間は死に絶えた。
しかし、12歳以下を含む子供たちは奴隷の身分に堕ち、奴隷に堕ちた人間は眷属らが飼育する神獣の贄として、または拷問の対象として弄ばれた。
だが、一人の少年は眷属らが支配する理想郷からの脱獄を決意するが――――――。