「私の妹は、私に相応しくなければ意味はないわ」
そう言って微笑む彼女の横顔に、悪意などは微塵も感じられない。普通ならば許されざる言葉も許されてしまうほど、高島聖は完璧すぎたのだ。
舞台は明治の時代に丘の上に立てられた由緒正しき女学校。そこには‘’エレオノーラ"と呼ばれる、生徒の中で最も優秀な1人にだけ贈られる称号がある。聖の目的はただひとつ。ひとつ、だったはずなのにーーー。
† † †
聖が高等部2年生に進級した春のこと。1人の少女が外部から入学してきた。可愛らしい容姿に、大きなヴァイオリンを背にからう様はどうしたって人目を引く。聖とて例外ではなく、同じヴァイオリンを弾くその下級生に‘’姉妹契約"を申し込んだ。それが自らを狂わせるとも知らず…。
「私に才能があるとすれば、失うものがないことよ。成績も、生活も、私の体でさえどうでもいいの。音楽さえあればいいの。私とお姉様、どちらが不幸なんだろうね?」
羨望と嫉妬。愛と嫌悪。美しいだけではいられなかった。これはとある‘’姉妹”が織り成す物語。
※R15は念の為つけました。
ジャンルが分からないのですが、ファンタジーと思って書いています。恋愛要素はありません。
シリアス 女主人公 学園 現代 女学院
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