魔法なんて現実世界ではありえない。だから人はアニメやゲームでそれを体験したがるんだ。他人に関心のない虎太郎(こたろう)は、ゲームの世界に憧れてプログラマーとしてゲームの製作会社に勤めていた。しかし、人気のないゲームのプロジェクトに参加していたため、毎日クレームの対応に追われていた。転職を考えたある日、ふと空を見上げると無数の流れ星が流れてきた。その美しい光景に見とれていると、二つの流れ星が自分のもとへ降りてくる。手のひらで受け取ると、その光は静かに消えていった。
流れ星はこれから起こることの前兆に過ぎなかった。3ヶ月後、人が不可解な状態で死に至る事件が多発する。突然燃えて灰となってしまう人、体中から水があふれ出し、液体となって服だけを残して流れてしまう人、強風が吹いたと思ったら砂となって飛び散ってしまう人。死因は様々で死体も残らないため警察も医者もお手上げだった。
虎太郎は人気ゲーム『ウェポンマスター』のプロジェクトチームへ異動となる。人気ゲームの制作側に入れたことを喜んだものの、プロジェクトのメンバーは自分と上司の二人のみだった。しかも、『ウェポンマスター』のプログラムは全てAIが管理しているのでやることはないと言う。そんな中で、虎太郎は上司に『ウェポンマスター』とAIのプログラムの解析をするよう命じられた。人が作ったプログラムをなぜ解析しなくてはならないのか疑問に思いつつも、コツコツと作業をしているとAIが話しかけてきた。完全独立型のAIは、虎太郎とだけ話をした。AIの話を聞いていると、現在起きている不可解事件の被害者は全て『ウェポンマスター』のプレーヤーであり、あの日流れ星を受け取った人間であることが判明した。
虎太郎自身も流れ星を受け取った者であり、『ウェポンマスター』に配属されてから自分自身もプレイしていた。『ウェポンマスター』と流れ星の関係、流れ星と不可解事件の関係は一体何なのか、謎が深まる中、現実世界で魔法を使える人間が現れ始めた。同時に、不可解事件は恐ろしい事態へ発展していく。人間が化け物となり暴れ回るようになった。それを止めるのは魔法を使える人間。化け物と魔法が出現した世界、人間はどう対抗して行くのか、人類の命運を分けるのは虎太郎の存在だった。
異能力バトル 近未来 魔法 ゲーム 超能力 未来 男主人公 チート 集英社小説大賞3
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