世界のどこかの海にある動く島で暮らす海獣漁師を目指す13歳の少年ゼネと、世界のどこかの海中にある島から流されてきた少年との出会いと別れ、そして彼らをとりまく人々の物語。
海獣漁という過酷な仕事をゼネに先んじて始めている兄のクポリ。それらの船をまとめる船長である大伯父のコアツァ。島特有の瓜を作るゼネの祖母カラタ。その畑を受け継ぐことを決めたゼネの姉のサナ。島の沿岸警備をするゼネの叔父のホウチャン。ホウチャンの仕事の相棒で恋人でもあるゲンナ。
彼らや周囲の人々が雨季へと変わる時期を慌ただしく過ごしていた時、言語に関する天分を持つゼネの叔母のウラカンが、島から長く離れることができない島民の性質を押して招かれた国外での仕事を終え、やっと帰国したその日、ゼネはひとりの少年と出会った。