自分には、何もないと思っていた。
誰の目にも留まらず、必要とされることもない。ただただ息苦しい日々。
春川樹(はるかわ・いつき)は、そんな想いを抱えて生きていた。
そしてある日、教室の扉が開き、見知らぬ少女が彼に告げる。
「ずっと、あなたを探していました」
彼女の言葉に導かれ、樹は異世界『和華国』へと踏み出す。
神託を受けた巫女・遥川桜(はるかわ・さくら)、軍人・滝沢慶周(たきざわ・むねちか)、治癒術師・東雲葵(しののめ・あおい)――
新たな仲間たちとの出会いが、樹の止まっていた時間を動かし始める。
誰にだって怖れはある。
誰かのようになれなくて、追いつけなくて、
それでも目の前の誰かのために、ただ懸命に手を伸ばす。
これは「何者でもなかった少年」が、
誰かを守り、信じ、決断し、恐れに立ち向かった物語。
過去に迷い、未来に怯えるあなたにこそ――
この物語は、届くはずだ。
シリアス 男主人公 女主人公 和風 中華 近世 内政 魔法 冒険 青春 パラレルワールド
読了時間:約79分(39,440文字)