主人公の8歳の少年、勇気は15歳の姉と手を取り合って生きていた。
母は蒸発し、必然的に一緒になった父には機嫌が良くても悪くても暴力を振るわれる。だから毎日両親から隠れて、少ない食料を分け合った。
臆病な両親は体裁のために姉だけ学校に通わせるが、弁当を用意するのはいつも姉自身だった。ある日姉が学校に持っていくはずの弁当箱が置いてある事に気づいた勇気は、両親にバレないように家を抜け出して届けに行くことに。一生懸命に歩いて、足が痛くなって日が暮れてきた頃、ようやく勇気は姉の通う学校に辿り着く。早速姉のもとに行こうとした勇気は、学校の先生に止められた。
事情を説明すると、連れていかれた先の部屋で待つように言われて勇気は大人しく待つことに。しばらくして現れたのは、涙目の姉と青い服を着た大人……警察だった。
そうしてようやく保護された二人は、新しい家族のもとで『普通』の暮らしを送れることになったのだった。
私小説 日常 現代
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