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連載 2エピソード
15歳で異世界に転生した浅海悠真は、気がつけば35歳になっていた。 帰還を願い続け、料理屋『Tsumugi』を開きながら、旅費と情報を蓄え、ただ“帰る方法”を探してきた。 けれど—— 20年という歳月は、彼の魂と身体をこの世界に染めてしまった。 帰りたくても、もう帰れない。 そんな現実だけが、鍋の底の焦げのようにこびりついている。 それでも彼は、今日も味噌汁を作る。 かつて日本で食べた、最後の記憶。 あの日の朝食だけが、なぜか消えずに心に残っていたからだ。 そしてこの店には、時折、同じように“帰りたい”と願う稀人(まれびと)たちがやってくる。 彼らは、何のために帰りたいのかも忘れてしまっている。 悠真の料理が、そんな彼らの“記憶”を呼び起こす。 この店は、帰れなかった男が紡ぐ、記憶と料理の物語。 そして—— 帰る理由を失った誰かに、“帰り道”を届ける物語。
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年06月25日
男主人公 中世 グルメ 読了時間:約5分(2,468文字)