──もしもイメージカラーが現実になったら。 人々が色を示す遺伝子〈色〉を宿して生まれてくる。これはそんなもしもの物語。

結局何も出来なかった話

　それは、幼少の頃の記憶。 「どうして優しい人が死ぬの？」 　この問いかけに答えはあったのか、あるいは──。

　もしも、自分の『寿命』がわかったら。人生の終わりが生まれた時からわかっていたら。死ぬときに後悔することはなかっただろう。 　そのような思いを馳せながら息を引き取った人が今までにどれほどいただろうか。 　ついに人類は正確に『寿命』を知ることが出来る機会を発明することに成功した。 ──これは、そんな未来の御伽噺。