「あなたの存在価値を説明できますか」
明確に答えられなかったとしたらーーおめでとうございます!
「自分だっていつか存在価値を証明し、何者かになれるはず」
と誤解しているあなたこそ、この物語の主人公です。
2124年――医療の発達により病気が死因とならなくなり平均寿命が200歳となった長寿社会では、ヒトの価値は【CTV(Cool Time Value)】という合理的な評価基準に支配されている。
CTVとは、外見や地位などではなく、どれだけ自己実現を追求し、その結果どれだけ他者の幸福に貢献できたかを示す指標である。日々の行動評価が街ゆく人々の頭上に数値として浮かび上がり、週末に公表されるランキングに一喜一憂する――そんな時代である。
CTV向上に不可欠なのは、【脳波コントロール】である。高ぶった「ハイベータ波」を意図的に「アルファ波」や「シータ波」に整えることで、理想を叶えるためのインスピレーション獲得、取り組み続けるためのストレス緩和による健康維持をサポートできる。
そしてこの社会で急拡大を続ける市場――それが「アイスクリーム業界」である。
アイスクリームは、元来持つ嗜好性、冷涼感、満足感、栄養価、アレンジ性、冷凍保存性に加え、形態冷凍庫、3Dプリンタ、原料転送システム、そして【ニューロサーマルインフュージョン】の技術革新により、習慣化が定着しやすい脳波コントロールのツールとして価値を拡張させた。ニューロサーマルインフュージョン技術はアイスクリームの成分が脳波に直接作用し、「リラクゼーション」「エネルギーチャージ」「パワーアップ」という3つの効果を複合的に生み出す。
老舗アイスクリーム店「菓子家」の跡取り・菓子ユウキもチャレンジャーの1人である。
かつて地域に愛された店は「時代遅れ」と呼ばれ、衰退の一途をたどっていた。しかしユウキは家業を救うため、新商品を開発し、御三家をはじめとした競合ひしめくアイスクリーム大会で優勝することを決意する。
『Energy★Scoops』――これは甘く冷たいアイスクリームを巡るマーケティングバトル――そして自身の価値を見つけ出す物語です。
もしあなたのお時間を3分いただけるなら、人生を変える一口をご試食どうぞ。
男主人公 未来 職業もの 冒険 グルメ 青春 近未来 アイスクリーム マーケティング ブランディング ビジネス 成長 友情 バトル
読了時間:約4分(1,750文字)