作品一覧全2件
連載 1エピソード
人生なんて、大嫌いだ。 何故、自分には空腹を満たすだけの生活が出来なかったんだろう。どうして、自分を繕えるだけの才能が無かったんだろう。 過去の人生なんて、振り返りたくもない。思い出すことすら吐き気を催す。無くせるのなら、犯されたって構わない。 逃げて逃げて逃げて。 ひたすらに何処までも逃げ続けたいと。でも、そんな事をしても変わらないって知っていても。 頭の中が割れそうで、それでも簡単には壊れてくれなくて。 壊れたいと泣き疲れた自分と、壊れたくないと無理矢理生き抜こうとする自分が反発しながら、体の内側を蠢き合う。 そんな、ただ堕ちて逝く自分を変えたのは、彼だった。 うずくまる自分に彼は、声をかけたのだ。とても温かい声だった。 唐突に彼は、一つの可能性を提示してきたのだ。 それは、一人分の戸籍とその後の人生。 これは夢?いや、夢でも何でも良い。だから、けして覚めないでと心の奥底から渇望した。 そんな頭を支配していた物を、彼の声が粉々に叩き潰していく。 例え嘘だったとしても、何も変わらないのだから、簡単に受け入れる事ができた。 ソレを受け入れた途端、涙がほを伝う。枯れ尽くしたとばかり思っていた物が、巡り廻る感情と共に溢れだした。 これで、変われる。 新しい自分が。 新しい人生を。 新しい世界で。 新しい未来に。 新しい存在と。 そして、私は世界を羨むのを止めた。 人生なんて、これからだ。
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ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2012年01月20日
読了時間:約2分(579文字)
連載 1エピソード
ある日突然、彼女は外側の世界に気づく。 1枚の写真と1つの動画。 写真は黒く塗り潰されていたが、それがかえって興味をそそった。 写真と同じ場所にあったデータチップ。 中身を見ずにはいられなかった。 再生される映像。この場所から外へと繋がる道が映し出された。 外から見えるのは大きな大きな建造物。 さらに、そこから見えるのは昔読んだ書物に書かれていた「月」と呼ばれる星。 唖然となった。この世界以外に゛世界゛がある事を。 今視たものは、嘘だとは思わなかった。 この体が疼くのだから。 体の中は「月」に行きたいという想い。 そしてもう1つ。 理解できない不快感。 ゛月゛を視た事が禁忌である様にしら思えた。 でも、視てみたい。 一呼吸の後、彼女は決断した。
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ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2012年01月20日
SF 読了時間:約1分(310文字)