「私は好きな人の傍に行きたい。それが革袋の代わりだとしても」
人もろくにたどりにつけないレベルのド田舎で神官として勤めるルルは、片思いを拗らせている。
「王国の英雄」とか「白銀の騎士」と称賛されるフラウ王国近衛騎士ヴィクトール。
眉目秀麗、文武両道。そのうえ性格も温和。
人気が天元突破した超有名人である。
そんな彼への片思いを拗らせているのが、どこをとっても平凡な少女にして神官のルル。
身分差もあれば年齢差もあり、物理的な距離もある。
幼馴染として細々と続けてきた文通も「身分差を考えろ」と王城の文官から止められてしまった。
それでもあきらめきれなくて、ヴィクトールが王から命じられた命がけのドラゴン退治に臨時の荷物持ちとして飛び入り参加することに。
そこで、ひょんなことからヴィクトールが王族に裏切られ奴隷に落とされていた事を知ってしまったルル。
「そうだ。ヴィクトール様をさらってしまおう」
ルルは決意して、一切の遠慮を捨てた。
根性と努力と友情とやたら仲が良い親族一同の力でルルは片思いの実らせることができるのか。
神々につくし、神々に愛され、神々基準で健やかに育った、規格外の少女が腐敗したフラウ王国にざまあをかます。かもしれない。