宝石の里と呼ばれるメルサバイト王国。王都の中にある平民街、そこで営まれている大衆居酒屋の看板娘アシュリーは、誰にも言えない過去を胸に秘めて生きていた。そんな彼女のささやかな夢は、手にした人間に何らかの幸福をもたらす宝石と名高い“ファムパルジュ”を、いつか自分のために手に入れること。
そんな中、職場の同僚でもある友人が詐欺に引っかかったことが発覚する。自分の過去と将来を、良く言えば甘んじて受け入れて、悪く言えば諦め流されてきたアシュリーの人生は、それをきっかけに有無を言わさず大きく舵を切ることになる──