憑依体質と共存している花籠 岬。彼女はたった一つの居場所・母親を失い、彼の世へ逝くことを望んでいた。
「阿呆、勝手に逝くな」
そんな岬の前に現れた、怪しげな男。それは母と育てていた鈴蘭の化身・厘だった。
彼の役割、使命は〝ある方法〟で岬の命を繋ぎとめること。
「懸想なんて領域では、もう到底補えない」
「あいつを……岬を俺に、くれないか」
ぶっきら棒で庇護欲あふれる妖に、岬はたじたじ……だったけど——
「もう、失いたくない」
いつしか彼は、特別な存在になっていた。
*
居場所を求める少女と、彼女を寵愛するあやかし。
憑依と共存しながら、謎に迫りながら繰り広げる、純愛ストーリー。