恵まれた人生を歩んできたはずの財閥令嬢、西園寺玲奈はビルの屋上へ続く階段を上っていた。恵まれた人生のなかで、唯一手に入れられなかったものを忘れるために――。自死を選んで飛び降りた玲奈が目を覚ますと、そこは見たことのない異国情緒あふれる世界だった。
『チキュウで死んだ者のうち、ごく少数は“マレビト”としてこの国にやってくる。王族とそれに連なる首長一族のみが念力を操るこの国で、マレビトは影の権力者として王宮を支配している』
そんなシン王国で、元皇子のアイゼルと医者のロイに出会ったレイナ。これ以上マレビトに国を好きにさせまいと、レイナの存在を隠すためにアイゼルとロイはレイナをかくまって行動を共にするようになる。2人の足手まといにならないよう、“薬師見習い”として奮闘するうちに、レイナはこの人生を「やり直し」だと考えるようになる。
「前世を自らの手で捨ててしまった私は、今世では人生に向き合いたい。どうせ死ぬのなら、だれかの役に立ちたい!」
真面目が取り柄の元令嬢が身ひとつで新しい人生を生きるなかで出会う人々。アイゼルやロイの助けになりたいと思う彼女はやがて、なにひとつもたないまま国家を揺るがす存在へとなっていく。果たして今世は前世のやり直しとなり得るのか。王宮を追われたアイゼルやロイを救えるのか。スキルも魔法ももたない、ただの少女の「やり直し人生」が始まる。
※R15は念のためです