作品一覧全2件
短編
 小森引雄(こもりひきお)は大学受験信奉者であった。そのため、高校三年間はひたすら勉強に明け暮れた。しかしながら、大学に入学してみると、彼の周りにいるのは唾棄すべき無学で無知な人たちだらけで、引雄は彼らと全く打ち解けることができず、孤立し、自分という存在を全否定されたような気持になり、彼のアイデンティティは崩壊してしまう。その後、大学には行けず、両親に実家へと引き戻されることになった。週末は両親と三人で外出するも、全く彼の心が癒されることは無く、ひたすらに日々が過ぎていくばかりであった。クリスマスの日、彼は商品を漁っている両親を差し置いて一人ショッピングモール内をぶらぶらしていた。しばらくすると、彼は、絶対的な孤独感に陥り、絶望し、店内を走り回って人を探した。すると、彼は本屋で光を放つ人に出会い、無限に続く道を見て、生きていくことを決意した。その日の晩ご飯のときに、彼は父親に思いのたけをぶちまけ、両親からの独立宣言を果たしたのであった。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2022年01月08日
日常 青春 私小説 読了時間:約33分(16,076文字)
短編
 磯倉哲成(いそくらてつなり)には、中学一年生から大学一年生のおよそ六年間、友達がいない。彼は、学校という、生徒に黒色の囚人服を着させた管理社会に自分を適合させることができず、「社会」からドロップ・アウトしてしまう。しかしながら、彼は一人本を読み勉強をすることで、「困難」と人が呼ぶもののほとんどは一人の力でなんとかできてしまうものであるということを知り、自然発生的に生じてしまう人間関係は大事にしていくが、無理をしてまで友達をつくろうとはしないことを決める。河合草介(かわいそうすけ)は哲成と同じ大学に入学する予定で、高校までの自分の暗い青春を大学では明るいものに変えてやる、と春からのキャンパス・ライフにうきうきとしていた。そんな二人が、クラス会にて邂逅する。二人の会話は、SNSの存在意義から友達の必要性、そして「社会」で生きるとは何か、というところまでどんどんどんどんと進んでいく。そして会話は終わり、一人颯爽と居酒屋から離れていく哲成の後ろ姿に、草介は目を離すことができずにいたのであった。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2022年01月08日
青春 私小説 読了時間:約37分(18,362文字)