悪党冒険者によって魔境に置き去りにされたアシェルたちロダン村の村人たち。
友人知人、兄弟や叔父さんが魔獣に喰われる中、運良く一人生き延びたアシェルは行き倒れていた魔女から『煤闇の書』という魔導書を譲り受ける。
『煤闇の書』とは倒した魔物を素材に、魔法を作り出すマジックアイテムだった。
妖精のチェルシー、『煤闇の書』のギブ・モアを仲間に、アシェルは魔境からの脱出を目指し、三ヶ月を過ごす。その間、多くの魔法を習得し、多くの魔物を下僕として従える。
そして、三ヶ月が経ったその日。
ついには魔境の主である魔王を倒してその権能を奪い、魔境からの脱出を果たす。
その背に多くの魔物を従えて。
すべては自分達を嵌めた冒険者に復讐するため。
これは、いつか『魔王』と呼ばれることになる、ただの村人Aの物語。