「自分の体と、心を大切にしてね。そうすればきっと――他の人にも優しくなれるから」
そう言い残し、母は死んだ。
一四歳の少年、星野鍵人は、母の病に対し何も出来なかった無力感に打ちのめされていた。そんな中、遺品に奇妙な本を発見する。
見たこともない文字が記された、漆黒の本。
それは、別世界で作られた魔法の本であった。本をきっかけに、鍵人は魔法使いを名乗る少女と出会い、新たな世界へ足を踏み入れる。
踏み入れた先が、陰謀と闘争にまみれた国と知らずに――。
少女との交流、巻き込まれた事件、目の前でこぼれていく命を通して、鍵人の価値観は揺さぶられていく。そして、鍵人は宿命の相手が魔法の世界にいることを知る。
繰り返される惨劇、血まみれの闘争の果てにたどり着いた宿命の相手を前に、鍵人は苦悩と対峙する。
生かすのか、殺すのか。それとも。
少年と少女の出会いは、世界を巻き込む戦争へと導かれていく。