大学生、三栗傑(みくり すぐる)は気が付くと奇妙な場所に居た。
まるで教科書にある美しい聖堂の様な場所。
突然の事に困惑していると、彼の目の前に1人の女性が歩み寄る。そして静かに、こう告げられた。
「突然の事でまだハッキリと把握できていないかも知れませんが、貴方は先程お亡くなりになりました」
(あぁそっか。俺は死んだのか)
怒涛の受験期を乗り越え、何とか大学生になった傑は惰性で入ったサークルの新人歓迎会でイッキ飲みを強要され、命を落とした。死因は急性アルコール中毒だった。
後悔と未練に苛まれる傑に目の前の女性、女神ハートゥラは言った。
「貴方には、2つの選択肢があります」
──天国へ行くか、異世界へ行くか。
そのフィクションの様な問いに、傑は即答する。
「俺、異世界に行きます」
こうして決まった異世界転生。その前に職業を選ぶ事になった。
いくつもの職業が並ぶ中、彼の目を引いたのは最不人気職の付与術師。
不人気職から成り上がる事にロマンを感じないでも無かったが、それ以上に後衛から誰かを支えられる支援職と言うのが傑の気質にあっていた。
無事職業も決まり、そして異世界へ──。
そして目が覚めると、そこは深い森の中。
まさかの凶悪な魔物が跋扈する秘境からのスタートだった。
生きるためには、(一人で)強くなるしかない!
人より少し運が悪い元大学生の、ハードモードから始まる異世界冒険譚。