神話という語の説明には「神にまつわる物語」の他に「前者が転じて、根拠もないのに絶対的なものと信じられている事柄」と書かれている。だが、本当にそうなのだろうか。

「当たり前なことは普通にできるべき」という考えを持つ会社員、克田則之。彼は職場に於いて、世間でよく行われている下手な方法を取り上げ「正しい方法」を常日頃から教え回っていた。しかしある日、日本語の正書法が決定されたという知らせを聞いてから、彼の生活は一変する。

文章とはつまるところ単語の集合であり、その単語はそれぞれが意味を有す。その有される意味も文章で示すことが可能であり、そうして書かれた文章も単語の集合である。 では、その文章を構成する単語を文章に開き続けると、どうなるのだろうか。

その友人は一見礼儀正しく真面目に見えるが、どうも行動がおっかない。いや、「おっかない」では済まないことを平然と行っている。

どうか、決して本作を故事成語の辞典として用いないでください。

文字食い虫という虫がいる。これは民家に巣を作りながら「文字」を食べるという習性を持ち、食べられた文字はその一日だけ使えなくなってしまうというものだ。

此は、Ａ県某区内に存在する「刑天村」と呼ばれる廃村に就ての資料の一部である。茲に於ては、某出版社より刊行されている週刊誌「週刊××」の編集者の手帳からの抜粋を主とする。

主人公の柳田耕輔は几帳面な中学生で、ごく普通の日常を送っていた。しかしある日「ごおん」という鐘の音を聞いてから、見慣れていたはずの世界が少しづつ「アレ」に染まっていってしまう。当たり前の「常識」を持っていた柳田のことを、どこまでも置去りにして……