小学五年生の在真には『感情』がない。 　雪の積もったある日、在真はひとつのかまくらを見つける。どうしても気になった在真がかまくらの中に入ると、そこは魔法使いや見たこともない種族たちが暮らす異世界”セノグ＝タウルス”だった。 　元の世界に戻れないことが分かり、在真はそこでの暮らしを余儀なくされる。魔法使いの師匠と出会い、一人前の魔法使いに成長した在真は師匠の元でお世話になる代わりに、師匠の手伝いをしながら生活していた。そんなある日、王女から依頼をお願いしたいという手紙を貰う。会いに行くと、セノグ＝タウルスの脅威である魔王を討伐してほしいという依頼だった。なんのためらいもなく依頼を受けた在真は師匠にお礼を言い、一人魔王討伐の旅を始める。 　在真は旅の中で、天候で性格の変わる女性、口を閉じれば清楚な雰囲気なのに話始めるとやんちゃでうるさい青年、魔法の知恵を与えてくれる犬のようなうさぎのような奇妙な生き物、二人＋一匹（？）の仲間に出会う。お互いを支えあい、様々な場所で嬉しい経験や辛い経験をしていく中、在真は少しずつ感情を取り戻していくのだった。 ――これは一人の少年の魔王討伐までの道のりと心の成長物語。