『俺が勝者だ。だから俺の……嫁に、なってほしい』
そう、黒龍に言った男は。傷だらけの黒龍を守って、人間たちに殺された。番になるという返事を聞かないまま、この世界から消えてしまった夫の転生を待ち続けた黒龍は。
――人間に生まれ変わった六年後に、黒龍の生贄となった。
崖から海へと突き落とされた彼は思う。僕が僕の、贄になるの? 人間に殺され、四百年後に生まれ変わった黒龍――クロは。愛する番を探して、愛猫と共に世界を旅する。
誰もが忘れてしまった真実を教えるために。(主人公にその気はなく、伴侶と親友たちが〝人間〟を断罪していきます)