子供のころ好きだったお菓子、初恋の人、大切なおもちゃ。貴方には今でも残っているだろうか。
好きなものに手を伸ばす。ただ、それだけが罪になるのだとすれば、それはとても哀しいことだ。
阿礼傑(あれいすぐる)はそういう星のもとに生まれてきた。
彼が愛したものは世界から消えてなくなってしまう。そんな彼に出来た精一杯の抵抗は“すべてに嫌われること”だった。
彼の世界はモノクロだ。それでも世界は美しいと感じてしまった。しかしそれを誰かと共有することは永遠にできない、そういった確信があった。
ある時、彼は交通事故に巻き込まれ足を骨折してしまう。街の嫌われ者の彼に手を差し伸べる人間は誰一人としていなかった。
────ただ一人の少女を除いて。
彼を救ってくれたのは、向日葵のような笑顔を持つ少女だった。たった一度顔を合わせただけの他人を助ける。それは言ってしまえば運命だったのかもしれない。
「私の名前は白鳥希子(しらとりねこ)。俗にいう名探偵ってやつです」
好奇心は猫をも殺す。彼は彼女に嫌われるためにあらゆる手段を用いるが、ことごとく失敗に終わってしまう。
好きな人に嫌われるために貴方はどこまで出来ますか?
身分差 悲恋 スクールラブ 日常 青春 ラブコメ シリアス ダーク 男主人公 学園 現代 群像劇 呪い 大学生
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