「俺はこんなところで死んでゆくのか……」
一人の男がいた。
彼の命は風前の灯、今にも死にゆく身体。終わる精神(こころ)抗えない現実。
そんな中彼には望んだ夢があった。もっと良い住処、豪勢な食事、側にいてくれる人。だがそのどれもが実現しないまま、彼は朽ち果てようとしていた。不条理な現実、無慈悲な世界によって。彼は努力していた。頑張っていた。だがその等価交換は叶わなかった。希望には絶望を。努力には諦めを。頑張りには無力を。これが現実なのか……。誰しも生きている以上終わりは訪れる、そのどれもが幸福な終わりであるとは限らない、望んでいなかった結末、現実に抗って負けた者、それらは等しく無価値であるか―。