ルキウス王国の第1王女として産まれたセレーア。実の母である正妃や血の繋がらない側妃にも愛され、四人の兄や一人の弟からも愛され。国民からも愛をもらう愛された王女。
そんな彼女は日本で生きていた記憶を持つ転生者であった。
国の東側にはウェノプス山脈という険しい山々が連なる場所がある。その山を越えた先には昔より敵対しているアルキューテ王国が。
そんなウェノプスにはある伝説がある。「山の頂上には大きな地割れがある。その下に竜が住んでいて、落ちてきた人間を食っちまう」と。また、アルキューテとの対立を防ぐために両国は麓に門を造る。その地割れが本当にあるのかも、人々はもう知らない。
ある日、二十歳の誕生日を迎えたセレーアは街で敵国アルキューテに攫われてしまう。意識を失っており、目を覚ますともうそこはウェノプス山脈であった。山の中を必死に逃げていると足場がなくなる。大きな果ての見えない暗闇に落ちていく。
死を覚悟して落ち、目を覚ました所にいたのは髪の長い美しい男であった。
※カクヨムにも同じものを投稿しております。