ペロが亡くなり、瞬はこれが最後のつもりで帰省した。駅で幼馴染の雪絵と再会し、翌日一緒に墓参りにいくことにする。
ペロは、瞬の生まれる一年前から昔住んでいた家の地下室で飼われていた。両親からは「昔、ペロが子供に噛みついてしまったので、見つかると殺処分されてしまうから隠している」と教えられていた。幼い頃、隣に住む雪絵に見つかってしまうが、秘密だと伝えると、それ以降、一緒にペロと遊ぶようになった。
祖父母の家に帰った瞬を祖母は快く迎え入れてくれたが、仲違いしている祖父は相変わらず冷たかった。食事中、少女の遺体発見のニュースが流れ、険悪な空気に包まれた。瞬の姉にも同じことがあったからだ。瞬の生まれる前のことだが、その姉がある少女の万引きを注意したことにより逆恨みされ、仲間の男たちに殺害されていた。
昔の家で父が病死すると母が急変し、瞬やペロを虐待するようになった。ある日、瞬が道端で倒れてしまうことで瞬への虐待は無くなったが、その分、矛先がペロに向かっていった。瀕死の状態となったペロを見て、瞬は母の殺害を決意する。
だが、その計画がばれてしまう。殺されそうになるが、そこで階段から母が転げ落ちてきて死んでしまう。階段の上にはペロの姿があった。
ペロが警察に見つかってしまい、瞬はその素性を教えられる。その後、ペロの両親である祖父母の家に、ペロとともに瞬は引き取られたが、大きくなるにつれ、ペロとの関係に苛まれていった。
しかし、今回の雪絵との墓参りにより、亡くなる前のペロや祖父たちの愛情を知り、瞬は希望を持ち始めていく。そしてそれを打ち明けてくれた雪絵の想いも知り、大切な人だったのだ、と帰郷を決意する。
青春 ミステリー
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