「イベント少なすぎだろ。ランキングとか対人戦とか、普通のことやりゃいいのに」
「商標も開発環境も囲い込んでるらしいぜ。稼ぐ気あんのかね」
体感型VRMMORPG「グラキエル」には、そんな評価が下されていた。
このゲームは、おかしい……と。
「仮想世界の物理法則は現実世界と一緒。力学や電磁気学、酸化還元相転移触媒酵素抗体反応に至るまで。どの国や企業でも、そこまで精緻なエミュレータの開発には成功していない」
研究開発に利用する人々からも、こんなふうに首を捻られて。
「グラキエル」は変なゲームだ。
まず、お金を取らない。逆に稼げば本物のお金をくれる。
プレイヤーを面白がらせるような仕掛けがほとんどない。
ただただリアルな、もうひとつの世界。
国家権力さえ及ばない、仮想経済のフロンティア。
社会は変容した。もはや後戻りできないほどに。
復興暦0414年。現実と夢の狭間に住まう者が総人口の5割を超える頃。
「グラキエルver.2.7」は、発売10周年とver.3.0へのアップデートを目前に控えていた。
【この作品は投稿者の個人サイト「物語の社」にも掲載しています】
⇒ http://chronicles.xsrv.jp
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2021年12月06日
伝奇 ディストピア 群像劇 魔法 パラレルワールド 現代 一人称 紀伝体 アカシックレコード 架空歴史 時間 重力 宗教 閉鎖社会 主観
読了時間:約1,150分(574,911文字)