歩く死体、ゾンビ、アンデッド――様々な創作で描かれてきたそれらは、もはや想像の産物ではなくなった。 地球温暖化が進み、日本から四季が失われるという異変の中、竜也、美優、勝治にとってはごくありふれた日常が続いていた。しかし、華やかな卒業式の日にその日常は崩れ始める。 後悔、憎悪、悲しみが渦巻き、恐怖に支配されたこの世界で、希望を掴み取ることができるのか。 これは、ぼくたちの黙示録である。

「名前、呼ばれたこと、ありますか？」 深夜のドライブ、ダム湖を渡る橋の上。 そこから、すべてが“滲み”はじめた。

冴えない会社員、萩原大智は不良からのリンチで死んでしまった。 霞んでいく視界が完全に閉ざされた時、眩い閃光が視界を包む、何が起こったかと気持ちが整理がつかない中、たたみかけるように今度は見知らぬ傷だらけの男が現れ、その上自分が幼子になっていた。 時は流れ、見知らぬ土地、聞き慣れぬ言語にも慣れ、傷だらけの男、父の事は尊敬すらしていた。 しかし見知らぬ男が家に現れてはその夜に父は外へと出向き、早朝傷だらけで帰宅する事が多々あった。 その様子に心配と無力感が募り、遂に萩原は父に一体何をしているのと聞くが「知らないでいい」と突っぱねられてしまう。 手がかりは、帰宅したとき玄関で払い除ける白い小石と、父が必ずそれを手に出向いていくウォーピックのみ。 父は一体何を隠しているのか、何から守ってくれているのか。 これは、萩原大智、もといアラスタ・ギルの物語。