俺―――仲村斗真が所属する理系研究室には、氷月凛という女子生徒がいる。常に無口無表情だが頭脳明晰で非の打ちどころがなく、誰もが天才と認めている美少女である。そんな彼女が今回発表する研究内容はどれほど凄いものなのかと聴講席で期待を膨らませていたのだが……待っていたのは、俺を好きな理由を科学的に分析した統計結果だった。
「仲村斗真との接近距離が近くなるにつれ氷月凛の心拍数は増幅。特に彼がうたた寝している隙にハグやキスを行ったところ、心拍数は百五十三を記録しており―――」
「俺が寝てる間に何好き勝手してんの!?」
「ごめんなさい。でもあなたが筋肉質だと分かったのは思わぬ収穫だった」
「誰も良かった感想なんて聞いてねーよ!」
果たして俺は、身が悶えるこの研究発表を乗り切ることができるのか。