とある国に、狐の獣人奴隷の少女がいた。
彼女には異世界の、前世の記憶と呼べるものがあった。
だが酷く摩耗したそれは、過去の自分が何者だったかも判らない、半端な代物だった。
だから前世など殆ど気にせず、彼女は周りに流されるように生きていた。
ただそんな彼女にも、どうしても知りたい事があった。
世の中で何者かがはっきりしているならば、誰もが当たり前に持っているモノ。
だけど、何故か自分にだけ無い物。
ソレを欲した彼女は、『鑑定』のスキルに賭けることにした。
そうして彼女は辿り着いた。
この『世界』の全てに、『世界』の答えに。
これは、自らの全てだった『世界』の真実を知った少女が、もっと広い世界を旅をする物語。
流されるようにあちこちへ、世界を巡りながら、世界を引っ掻き回す物語。
「――体験しなければ全知も未知だ。だから見に行こう、世界の全てを」
なお、旅先には大小様々なトラブルが待ち受けている模様。