ある日不思議な能力に目覚めたどこにでもいる普通の男子高校生・西原槙夫はひょんなことから世界の命運を握る鍵となる――。
なんていうありがちな能力者バトルに巻き込まれた少年。
彼は無知で幸福なありふれた人間の一人だった。何も知らないからこそ幸せな日々が送れていた。
しかし彼は知ってしまった。彼の意志に関係なく偶然と運命が重なった結果、彼の幸福は崩壊した。
知るということは、恐ろしい事なのだ。それを知ってしまったがゆえに、自分が生きるか死ぬかより残酷な選択肢に解答を示さなくてはならなくなった。
しかしもう逃げることはできない。知ってしまったから。何かを選び取り、何かを捨て去り、考えて、考えて、考え続けながら走り抜けなければならない。
これは、本当に偶然、世界の運命を握ってしまった少年の話である。