女子高生・白石由希の日常は一瞬で地獄に変わった。
「あなたはこの世界を救う勇者に選ばれました」
そんな声が脳内に響いた直後、仮想世界に転移させられていたのだ。
「なにこれ...理解できないんだけど」
そこに住まう魔物に白石由希は為す術なく嬲り殺される。そして殺されると現実世界に戻される。それを何度も何度も繰り返すのだ。心身共に限界へ達しそうになる由希にある1人の男子高生が声をかける。
「多分そのゲームは由希1人だとクリアできないようになってるんだと思う。大丈夫。僕が協力してあげるよ」
男子高生・平川穂の協力のもと、魔物を倒すことに成功する。喜ぶ由希だが、ゲームは終わらず次のステージへ進む。平川穂は由希に対して、これからも協力する代わりにある条件を提示した。
「ねぇ、僕と付き合ってよ」
いつもの日常に戻るためには仕方ないと思ってた。だけど...
「私...由希のことが心配だよ。ここのところ元気がないし、ずっと何か考え込んでる。もし悩み事があったら相談に乗るから」
壊れていく日常と膨らんでいく自分への失望感。でも、それすらもこれから続く地獄への第1歩にしか過ぎなかった。
「アハハハ!あたしは人の苦しむ顔を見るのが好きなの。お姉さんは一体どんな顔をするのか、今から楽しみで仕方ないよ!」
「妄想と現実を履き違えるな。君は僕がいないと何もできない。まさかそれを忘れたんじゃないよな?」
膝をつき絶望に項垂れてもその心に抱いた決意を失うことはない。だけど無限に続くこの生き地獄に、いつまでその虚勢を張れるのだろうか。
「役者も舞台も問題なしと...でも脚本と演出がイマイチなんだよなぁ。そうだ、いいこと思いついた」
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2022年12月23日
悲恋 ヒストリカル スクールラブ オリジナル戦記 ハードボイルド 異能力バトル 少女 魔女 演劇
読了時間:約8分(3,731文字)