昇ることを諦めた月と降りることを忘れた太陽が住まう久遠の黄昏世界で紡がれる物語
少年ユナは、代々続く世界を守る楔の守り人の子で一番強い法力を持って産まれ、僅か三才で次期当主として大事に育てられていました。
しかし、彼の4歳の誕生日の日。
突如、盗賊に村を襲撃され、家族、自由、そして生まれながらに持っていた法力の力を失ってしまいました。
まだ幼く何を失ったかも理解できないうちに大切なものはその小さな手のひらから零れ落ちて、更に数年のこと。
ユナはまるで囚人ようの地下牢に閉じ込めらていました。身体は痩せ細り紅顔の少年は見る影もなく、金色だった髪は血のように赤黒く染まっていました。そうして、ある日ユナの母が疫病にかかったことで、義兄弟達は思い立ち、ユナを牢獄から拐って、万能薬があるとされる風の精霊の住まう森へと向うのでした。