Bランク冒険者パーティ【森のグルメ】は、ステータス上昇効果をもたらす種を集める冒険者集団だ。
しかし有用なステータスを伸ばす種は、パーティの中心メンバーに独占されてしまう。
盾役の【戦士】インゼンに与えられるのは、死にステとして有名な【精神力の種】だけだった。
しかし精神力をカンストさせたインゼンは、パーティから暴力やいじめを受けても何も感じていない自分に気がつく。
(どんな痛みを感じても気にならねえ。精神力がカンストしたからか?)
一方で筋力や体力をカンストさせた他のメンバーは、更に種を独占するためインゼンを追放する。
「インゼン、おまえは今日でクビだ」
しかし精神力がカンストしたインゼンは動じない。
「そうか。今まで世話になったな」
そして王都に戻ったインゼンは、突如出現した魔王を名乗る少女に出会う。
逃げ出す人々の中、精神力がカンストしているインゼンは動じない。
「気に入った。貴様を我の眷属にしてやろう。ただし魔族のスキルを人間が使えば多大な苦痛が伴うが、耐えられるかな?」
もちろんインゼンは一切の苦痛に動じない。
平然とした表情で手首を切り落としては、あらゆる敵の視界を奪う【紅の霧】やあらゆる敵を貫く【紅の槍】を発動する。
さらに傷つけば傷つくほど強くなる【ダメージブースト】のスキルによって、インゼンは無敵のステータスも手に入れる。
ちなみに魔王の目的は、ステータス上昇の種の中で最も希少な魔力の種を集めること。
一方で、精神力がカンストして落ち着き払っていたインゼンを失い、統率を失いつつあった【森のグルメ】たちも、一発逆転を目指して魔力の種を集めることを決める。
しかしインゼンの働きによって、【森のグルメ】が辿り着く頃にはいつも魔力の種は残っていないのだった。