ここは剣と魔法の世界。魔物が蔓延り、厄災が世界を蝕む。過酷な世界。人の管理が行き届かなければ廃れ崩壊する街も数多くあった。─俺の村も例外ではない。 表半球で最も広い大陸、ユグリス大陸その最東端に位置する平凡な村。俺ユージ・アラストルは農家の息子で父の畑作業を毎日のように眺めていた。決して裕福ではないが不幸でもない。平凡が最も似合う暮らしをしていただろう。─それでよかった ある日魔族を名乗る集団に全て焼き払われた。5歳の俺が確認できたのは魔族にグルグルの角が生えていたやつがいたということくらい。それを頼りに唯一生き残った俺が復讐を近いこの過酷な世界を動き回る。殺す、確実に情報を見つけて、文献を漁って、人と出会って、剣の腕を磨いて、魔法を研ぎ澄ませて──── ──20年がたった。俺は宿のベットに起きて、動くのをやめていた。 冷めていた。何が原因かは分からない。ただただ冷めていた。復讐に燃え上がった火柱は時を経て鎮火したのだ。 ────これはそんな少年が復讐の意義を探す物語。