恋愛とは無関係で生きてきた男が、ある日ある娘と知り合い、そして恋に落ちる。
2人はやがて結婚するが、それも長くは続かない。
突然女が病に倒れて死んでしまう。
悲しみに暮れる男は、彼女に会いたいと神に祈りを捧げる。あまりにも熱心に祈るので神は使いの天使に命じて女に会わせてあげる。
しかし一度会えばまた会いたくなる。
しかし神はもう会わせない。
とうしようもなくなった時、彼にとって救いの手が差し伸べられる。
嵐の夜、家を訪ねる者がいた。悪魔だった。
悪魔は女に会わせられると、言葉巧みに男をそそのかす。
悪魔なんか信じることはできないと思って、もう一度神に祈るが、助けてくれないことが明らかになると、男は覚悟を決める。
悪魔に会うと、女は天国から連れてくるが、会えるのは地獄なのでと言われ、仕方なく地獄へ行く。
待ちに待った感動の再会かと思いきや、女は肉が落ちた、喋る骸骨になっていた。
彼女を元の状態に戻して天国に返すことはできるが、そのためには男が女のために地獄に残り、50年間働かなければいけないと言う。
男は断ると思っていた。これまでに騙してきた男たちがそうだったからだ。
しかし男が残ることに決めると、悪魔は気づかぬうちに涙を流していた。その涙の理由とは?
悪魔はかつて人間への憎しみが強すぎて、人間に横柄な態度をとっていたために、契約にこぎつけることのできない悪魔だった。
しかしある先輩悪魔と出会い、目的のために憎しみを抑えるべきだと諭され、以降は下手に出る悪魔を演じて活躍する。
悪魔の人間への憎しみのそもそもの背景には、元は人間を騙していたが、あることをきっかけに改心して、人間のために活動していた母親が、その人間たちに裏切られて命を落としたことがある。
しかし、母が昔助けた女の子と出会い、自分を悪魔だと知っても優しく接してくれる女と出会い、悪魔はその女に強く惹かれるが、憎しみがそれを許さない。内部分裂を引き起こし、葛藤し、完全に闇に堕ちようとしていた自分を助けてくれた女と最後には恋に落ちる。
悪魔は母を失って以来の、平穏で満ち足りた日々を送るが、それも束の間。教官の悪魔に勘付かれ女は殺される。そしてまた闇に落ちていく。
地獄に落ちた男の、悪魔と契約したことの罪の償い、そして人間を憎み人間を蹴落としてきた悪魔の罪の償いの物語が、今始まる。
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