アスナ・テオール16歳。彼女は「魔王を倒した勇者(女)」の娘であり、元勇者兼母親であるアスラ・テオールにこれでもか、という程に激似。だが、勇者にだけはなろうとしない。目立ちたくないのである。
街へ一歩でも出れば注目の的になり、大騒ぎになる。次女であると説明しても、「勇者の娘だ」と更に騒いで拉致が明かない。
……という事を危惧してアスナは一度も街へ行った事がない。
12月に16歳の誕生日を迎えたアスナは、「魔法の才能があったら街へ出て先生になる」という条件付きで魔導書を姉のユーラ・テオールから誕生日プレゼントとして貰った。
翌日、「魔法なんて私には向いてないよ……」と思いながら目次のページを捲る。
何が書いてあるのだろう、と期待を込めて魔導書に目をやると、そこには謎の一枚の手紙が挟まっていて__