床に伏せ、今にも息を引き取ろうとしている この老人は　佐倉一刀という。 幼少から家伝の古流武術【水桜流】を学び、今代に敵なしと謳われた高名な武術家である。生涯のすべてを武術に捧げ、多くの弟子に教え、日本武術界に多大な貢献をした彼を見舞おうと、多くの人々が訪れる中、最早声も発せなくなった彼の胸中は、たった一つの心残りに支配されていた。 ワシ、童貞じゃん… どこまで行っても偏屈変わり者の童貞武術家は 異世界でなら世帯を持てるのか…