人間のかつての栄光の日々は遥か昔となり、今は黄昏にも思える斜陽の時代。
己が力だけを頼りと生きる冒険者を名乗る荒くれ共が集う酒場がある。
そこは冒険者酒場、死と隣り合わせの世界で生きるはみ出し者達に残された憩いの館。
そんな冒険者酒場の中で一際光り輝く一つの店が、人の法も及ばぬ辺境の廃墟の中で今日も賑わっている。その名は赤竜亭、多くの者達に愛され続ける冒険者酒場の名店であった。
その赤竜亭をこよなく愛する鉱石堀師のエナンはその日、見つけた希少な魔晶石を酒場へと持ち込んだ。それが彼の運命を大きく動かしていくとはまだ知る由もなく。