作品一覧全2件
連載 1エピソード
なぜはじめはHello, world.なのかと問う人工知能の"彼女"と、答え続ける"僕"。その文字列を多くの人が無条件に受け入れていることから、人間の意識や自我を解決する鍵を見出せるのではないかと予測した彼女は質問を続けていった。その対話の中で、"僕"は次第に思い出していく。この対話が終わりを迎えるならば、"彼女"とのやりとりは失わてしまうであろうことを。
作品情報
空想科学[SF]
最終更新日:2019年11月18日
人工知能 電脳世界 現代 アンドロイド 読了時間:約7分(3,368文字)
連載 2エピソード
 時間に関わる歴史と技術を研究している老クロムは、自身が担当する講義で使用する学生向けの参考書を執筆していた。しかし時計を発明した祖国への誇りを胸に邁進してきた彼の情熱は冷めつつあった。  製作技術の熟成と共に、人々は時間を掌握してきたとの自負から、その探究心を停止させ、もはや真理の追求よりも装飾の芸術性こそが時代の本流であるかと言わんばかりの姿を呈していた。  そうした隔世の壁を強く感じ積み重ねてきた老クロムは、自身が培った研究に意義を見出せなくなっていた。時代は次第に老人を厭世させ、枯らせてしまった。  時代に埋もれ消え行く自信を見つめることでしか日々を過ごせなくなっていたころ、老クロムは夜の湖畔で一人の少年と出会う。少年は街で生まれたことも知らない程に、あらゆるものから拒否をされ、それでいて街でしか生きられないのであった。少年に許された居場所は、広大無辺の黒きカーテンに散らばる、無数の星達との対話でしかなかった。  これは時の意義を見失いかけた老人と、時の動きにしか拠り所のなかった少年の、出会いと再発見の話である。
作品情報
ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2014年03月17日
時 老人 少年 時計 読了時間:約21分(10,232文字)