この作品は、人族と魔族が二千年以上争いを続けた世界。両国で平和条約が結ばれた時代の魔族が建国した国ユートピア公国を舞台に、魔王城の地下にある最古の召喚陣に転移召喚された記憶喪失の少女カロン・クロウドが主人公の「忘却の少女は次代魔王候補のヒロイン候補に言い寄られています」と、二千年前に魔族軍を指揮し、人族の軍と戦った魔王妃リリスの前世の記憶を持つ魔族の由緒ある血統貴族(魔将貴族)令嬢エリザヴェータ・シルバニアが主人公の「魔王妃だった転生悪役令嬢はいけ好かない婚約者の拾われ妹にときめいています」のふたつの物語の完全版のようなものです。
主にサブ女主人公であるエリザヴェータの物語を起点に現代の魔王の息子で次代魔王候補とされるゼノンの誕生日の日に、エリザヴェータとゼノンの婚約が貴族院から公言され、魔獣たちが棲むオルト山脈で魔獣たちが暴れ出し、麓の集落にいた民を襲う事件が起こります。
現代の魔王ジュン・クロウドは魔王城の地下にある召喚陣を使い、生存者を召喚しますが、召喚されたのは新種の魔獣スライムに覆われた魔力を持たない黒髪金眼の記憶喪失の少女だけでした。ゼノンはスライムを切り裂き、少女に手を差し出し、魔王は少女にカロンという名を与えて家族として少女を迎え入れます。
前年の平和記念式典の際、先代魔王でゼノンの母親であるカエラがゼノンを庇って石化したまま元に戻らない事や魔族の国から魔法使いの国として変わった世界の成り立ちやそこに生きる者たちに触れ、何も持たなかった少女は人として成長してゆきます。
悪役令嬢のエリザヴェータと優しい自慢の兄のゼノンの婚約を快く思わないカロンは魔法学院で現代の聖女と称される隣国からの新入生の美少女タチアナ・シルフィーに白羽の矢を立てゼノンとくっつけようと奮闘しますが、なぜかカロンがタチアナから好かれしまい、カロンを気に入っているけれど、つい悪役令嬢の振る舞いをしてしまうエリザヴェータは心穏やかじゃなくなります。
幼い頃、エリザヴェータに告白し、ゼノンをライバル視しているエリザヴェータの従兄弟アレクサンドル・アカインも加わり、彼らは二千年前の魔族と人族の戦いの因縁が複雑に絡んだ事件に巻き込まれてゆく。
喪失系無自覚女主人公の百合要素強めのハーレム展開魔法世界奮闘ファンタジー開幕です!