一番目の子は、王者の子。
二番目の子は、覇者の子。
三番目の子は、不憫な子。
この王家の奇妙な呪いによって「不憫な子」として生まれ落ちたトリスティアは、ことあるごとに可哀想な姫様と憫れまれているが、自分のことを可哀想だとは一度も思ったことはなかった。
王宮の片隅で隠されるように暮らしてはいるけれど、乳母と乳姉妹との離宮での生活は至極穏やかで、むしろ呪われた「不憫な子」の身には過ぎる待遇だと戸惑うほど。ちょっとした不運な目に遭うだけの自分を憫れむ人たちの事が理解できず、自分のことなのに王家の呪いについてはどこか他人事のように感じていた。
そんな中、トリスティアは十五歳になった日に自分が実は王子であることを明かされる。
ずっと姫として生きてきて、自分が姫であることを疑ったこともなかったから、自分が王子になることに戸惑いを感じて姫でいることを選ぶトリスティア。
そんなトリスティアをありのまま受け入れてくれる乳姉妹と離宮の主である大きな鴉、そしてついに王家の呪いが動き出したとき手を差し伸べてくれた離宮の主の眷属たちに見守られて、トリスティアは自分が何者なのかを知って、考え、見つけていく。
離宮暮らしで浮世離れしたトリスティアが、自分のことを知って、自分と自分を受け入れてくれた人に誇れるように一生懸命生きていこうとする物語。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
R15残酷な描写あり
最終更新日:2023年08月11日
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