天使が神と出会うため、そして死神が神と決別するために魂が捧げられ費やされるこの世界、そこに点在するいくつもの都市・ユルバン。主人公である女役人・澄川は天使に仕える斎僚(さいりょう)の身でありながら、こころが軽んじられ、あまつさえ穢れとして扱われもする世界の宿痾に抗って真実を求める。彼女が挑む、辺境に築かれた迷宮では、精霊の遣わした ”うつしみ“ が眠る。迷宮の奥で、魂を糧に育つ ”うつしみ“ から告げられる神からの預言は、神話時代のできごとを伝えるものだった。その謎めいた預言を読み解くべく、斎僚として命を受けた澄川は、死神の棲む地獄にそびえ立つ、デンドロカカリヤの城、魂の渦巻く闇へと身を投じるのだった。
主人公:
澄川。女性、26歳。丸い眼鏡をかけている。