――AIが指定した相手(パートナー)と結婚する――
少子化対策の柱として、国は男女の結婚を支援する都市型の施設を作り上げた。
その名はカルティベーション・フォート。
高い塀で囲まれたその街には、男性居住区域と女性居住区域が存在し、その中で暮らす子どもはパートナー以外の異性と全く顔を合わせずに成長する。
永峯奏(ながみねそう)はパートナーとの関係に疑問を感じながら日々を過ごしていた。
ある日、海岸沿いを散歩中、波打ち際の物体に目を疑う。そこに、男性居住区域には存在しないはずの少女が横たわっていたからだ。
とりあえず少女を寮まで運んだ奏は、目を覚ました少女の言葉を聞いてまた驚愕する。
澄名千花音(すみなちかね)と名乗るその少女は、幼馴染の初恋の相手へ告白するために、フォートへ侵入してきたと言うのである。
男性居住区域にわざと女性が入り込んできたと周囲に発覚すれば、千花音が罰せられるのは確実。
なかば強制的に千花音の手伝いをすることになった奏は、彼女の存在を隠しながら、彼女の初恋の相手を探し出すことができるのか。