その足跡は、彼岸へと消えた。
異端の旅人、マシュー・メリベルはその秘密の在り処を書き残して、一人遠い「海」の向こうへと消えた。
決して生きては戻れぬ場所、大地の果ての先無き彼方へと。
人々には、ただ「記録」だけが残された。
それから百年後。
人の世には、暗い嵐が迫りつつある。
千年の安寧に身を伏せる老いた王座はいよいよその栄光を陰らせ、まつろわぬ者たちが復讐を果たさんと蠢動を始めている。
不死なる公国ワルトワ、黒い狐どもの通商同盟、永劫の探求に閉じこもるグラディアの城塞、そして砕かれた帝国とその穢れた遺児ども。
弓引く者たちは集い、世界から竜の導きが失われようとしている。
先はない。
だが、だからこそ旅人は語る。
運命を知りたければ、旅に出ろ。
その場所には、きっとすべてがあるのだと。
導きなき時代のただ中、そこに生きる小さな彼らは、様々な思いを胸にその足跡を――失われた世界の果てを目指す。
その旅に、彼らは一体何を見るのだろうか?
これは、時代の記録にひっそりと生きた、ある冒険者たちの物語。
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2025年04月30日
ネトコン13 シリアス ダーク 西洋 中世 群像劇 魔法 冒険 オリジナル戦記 ファンタジー
読了時間:約142分(70,868文字)