2038年、日本の人口はかねてからの予測通りに減少し、政府は70才以上の希望者を特別保護区と指定したマンションに集約して住まわせる取り組みを開始した。
袋井誠はその特別保護区の住民たちを訪問し、様子見、話し相手などのサポートをする仕事に就いている。若者はあまり就きたがらないこの仕事で、住人たちと話をするのは他人に言えない秘密を抱える彼にとってはむしろ心地がよかった。
ある日、袋井誠は偶然この特別保護区を出入りする数少ない若者たちと出会い、この出会いが思わぬ形で彼を逃げてきた場所へと向かわせる。
日常 近未来
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