なんのチート能力も持たないただの妖精に転生したフィエスタは、娯楽の少ないファンタジー世界に飽き飽きしていた。
そんな世界を変えたのは妖精の森に現れた勇者。
たまたま勇者パーティーの一員となれたフィエスタは彼を推し、充実した日々を送る。
やがて終わりを迎えたのは勇者が魔王を斃したからではない。
彼が魔王に殺されたからだ。
しかし約300年後、勇者は生き返った。
魔王に見初められた彼は命の灯が消える寸前、不老不死のスキルを与えられていたのだった。
老いることのない推しとの新たな旅が始まる!
……けれど、彼の心の内をフィエスタは知らなかった。
不老不死にされたこと、魔王に好意を持たれたこと、彼が死ぬことになった本当の理由も……。
//第二部(Ⅴ章 #28~)
なんやかんやあって初夜に飛ばし過ぎた勇者と魔王はラブラブな雰囲気を隠そうともしない。
推しがいちゃ付いてるのは大変喜ばしいことだ。
けれど誰も予想していなかった事態が初夜に実は起きていた。
男であるはずの勇者のお腹の中に、次期魔王がデキていたのだった。
2代目魔王が生まれた影響で勇者は勇者でなくなり、新たな勇者が生まれる。
魔王と戦わなくていいようにフィエスタは新たな勇者にすべてを伝えたけれど、この先も永遠に伝え続けていくことは不可能だ。
ということで、勇者と魔王の戦いの歴史を終わらせる為、世界を巻き込んだある計画が立ち上がった……。
//第三部(Ⅺ章 #57~)
ついに3代目魔王が生まれ、再び勇者との血の契約が切れてしまったフィエスタ。
妖精の森でしか生きられないとはいえ、戻れば恐らく、森からは一生出られない。あと何千年と退屈を強いられることになる。
いっそのことこの魔王城で……そう考えていると、ただひとり、ある提案を持ち掛ける人がいた……。
これは、それぞれがそれぞれに生き抜いた物語。